東京地方裁判所 昭和46年(借チ)2094号 決定
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〔主文〕申立人が、相手方に対し、本裁判確定の日から三月以内に金三〇五万円を支払うことを条件に、別紙目録(一)記載の土地に関する賃借権を東京都板橋区常盤台四丁目一六番地富沢定に譲渡することを許可する。
〔決定理由〕1 申立の当否
本件の資料によると、申立人は、相手方から昭和一一年一一月一日本件土地を木造建物所有の目的、期間二〇年の約で賃借し、右借地契約は期間満了にともない更新され、残存期間は昭和五一年一〇月三一日までであること、地代は、昭和四六年八月分から一ケ月二万一、四四〇円に改められ、現在にいたつていること、申立人が本件土地上に本件建物を所有していることおよび申立人が本件土地賃借権を富沢定に譲渡しても相手方の不利になるおそれがないことが認められるので、本件借地権譲渡は、これを許可するのが相当である。
2 附随処分
鑑定委員会は、土地賃借権の譲渡に際し、借地人から賃貸人に承諾料を支払う慣行があり、東京都内における承諾料の額は、住宅地の場合は借地権価格の一〇%程度であるという慣行に準拠して、借地権譲渡許可にともなう財産上の給付を定むべきものとし、本件土地の借地権価格を三〇四八万五、〇〇〇円と評価し、その一〇%を求めると三〇四万八、五〇〇円になるので、万円未満の端数を切り上げ三〇五万円を財産上の給付とするのが相当であるとする。
賃貸人が特定の者に対する借地権の譲渡を承諾することは、その特定の者に限り譲渡性を付与することであり、借地権の権利内容が一時的にせよ変更することである。譲渡許可の裁判も右と同じことであるので、承諾料も財産上の給付も右の意味における譲渡性という権利を付与することの対価であると解するのが相当である。右対価は、譲渡性の付与に因る借地権価格の変動差として捉えるのが正しいと考える。譲渡性の付与といつても、特定の者に対してのみの譲渡性の付与であるので、これにより賃借権が地上権に変わるわけではないので、譲渡性付与の対価は、地上権価格と賃借権価格の中間に位置することとなると一応は考えられる。実際問題として、この位置をどこに求めるかは困難と思われるが、地上権の価格が求められれば(地上権の取引事例が尠いので、その価格を求めることは困難であるといわれるが)、財産上の給付の上限は、地上権価格と賃借権価格との差ということになり、右の差以上を財産上の給付とするのは不当であり、また、右の差がない場合は、財産上の給付は不要ということになる。巷間の譲渡承諾料の額の合理的根拠については検討を要するが、地上権価格の評価が困難である現状では、譲渡性付与の対価を合理的に算定することができないので、当分の間巷間の慣行に準拠することとし、本件の財産上の給付を鑑定委員会の意見と同じく金三〇五万円とする。
目録<略> (小山俊彦)